2009年2月23日月曜日

DataAnnotationsだけでの入力検証の盲点

以前の投稿(ASP.NET MVC RCの入力検証)で、如何にASP.NET MVCのDefaultModelBinder(IModelBinder)が汎用的になったかを取り上げましたね。

で、以前の投稿で見事に見逃してたのが「必須入力ではないけど、入力形式の不正メッセージを表示したいな」というところ。分かりにくいですね。例えば日付フィールドがあってモデルのプロパティはDateTimeなら当然日付形式の文字列じゃないとキャスト出来ないから、入力エラー。数値型ならintで当然アルファベットとか勘弁してくれよ、と。

必須フィールドならRequire属性でいいですよね。キャストに失敗した場合、何もセットされず型初期値(default(T))が入ったままだから、エラーメッセージに「ちゃんと入力してね(ハート)」って表示すれば。それでも、初期値が数値で0だと困る!って時にはNullable<Int32>とかでnullにしとけば、初期値のまま処理が進んじゃうって事も防げますから。

だけど、必須じゃない場合に「キャスト出来ませんでした」なんていうシステム固定のメッセージを出すのは、どうなのよ、なんて時があるもん。社内システムとかならそういうモンだから、で済むかもしれないけど、ネットに公開するならそういうメッセージはダサイ。いや、社内システムでもダサイけど、対象ユーザー層を考えれば、それでもまぁいいじゃん、っていうかね。

ちなみに、DataAnnotationsを使って、入力検証を実装した以前の実装だと、キャストエラー表示してくれないもんね。ModelStateDictionaryには(モデルを復元したタイミングで)ちゃんとエラーとして入ってるんだけど、ModelErrorクラスのErrorMessageにはメッセージが入って無くて、Exceptionプロパティに例外情報として入ってるから展開されないんです。

以前のテストプロジェクトにここで登場してもらいましょう。で、1箇所変更点として、PersonViewModelクラスのAgeプロパティについてるRequire属性を削除して、Range属性だけにしてみます。クラス定義は以下の通り。

public class PersonViewModel : BaseViewModel
{
 public int Id { get; set; }

 [Required(ErrorMessage="名前は?")]
 public string FirstName { get; set; }

 [Required(ErrorMessage="名字は?")]
 public string LastName { get; set; }

    [Range(0,150,ErrorMessage="0歳から150歳で")]
    public int? Age { get; set; }

 public List Weapons { get; set; }

 public PersonViewModel()
 {
   Weapons = new List();
 }

 public override string Error
 {
   get
   {
     if (Weapons == null || Weapons.Count == 0)
       return "武器、っていうか必殺技は?";

     return null;
   }
 }
}

太字のところですね。 これで、入力値に整数以外を入れて、ポストしたときのスクリーンショットが↓これです。

modelbind

ViewがRenderされるときに、ModelStateDictionaryがどうなってるかをブレークポイントをセットして確認してみましょう。

modelbind2

クリックすると大きく見れます。 Render時には、ModelState内のModelErrorは存在してるけど、ErrorMessageは""空文字で、ExceptionにInvalidOperationExceptionが入ってるのが分かります。

で、このExceptionをエラーメッセージとして表示するなら、そのまま取り出して、ErrorMessageに入れてしまうようなコードを書いてしまえばいいですね。ただ、エラーメッセージが今回の場合だと「17a は Int32 の有効な値ではありません。」と、出ちゃうんですよね。Int32って...。そんなこと表示されても普通の人は理解できないし。そもそもどのタイミングでメッセージの取り出し処理をすればいいでしょうね、って展開になります。

そこで、登場するのがIModelBinderのオーバーライド出来るメソッド群。これまたオレルールの方のエントリーの一番最後に書いてるIModelBinderのイベント発生順がキーになります。

結論から言うと、OnModelUpdatedのタイミング(モデルの復元完了時)に、ModelStateDictionary内のModelErrorに上記例外が含まれてるかチェックしてしまえばいい、という事になります。 ドンドン意味の分かりにくいエントリーになってきてますね~。

で、コードとしてはシンプルに↓こんな感じで動きます。LINQ部がかなり適当...。

public class ValidateModelBinder : DefaultModelBinder
{
 protected override void OnModelUpdated(ControllerContext controllerContext, ModelBindingContext bindingContext)
 {
   base.OnModelUpdated(controllerContext, bindingContext);

   var modelStates = bindingContext.ModelState;


   // ここでModelStateDirctionaryにInvalidCastExceptionを含んだエラーが
   // ないかチェックして、あれば入力エラーメッセージをここでいれる。
   // ※表示するときに空メッセージ(InvalidCastException)は除外するから、
   //   コレクションには入れたままにしておく。
   // ModelErrorを消さずにそのまま残しておくことで、ViewPageでCSSクラス名
   // が追加されてどのフォームエレメントがエラーなのかは視覚的に
   // 判断できる。
   var key = "__InvalidOperationException__";
   if (!modelStates.Keys.Contains(key))
   {
     var isInvalidCast = (
                           from ms in modelStates
                           from err in ms.Value.Errors
                           where err.Exception is InvalidOperationException
                           select err
                         ).Count() > 0;
     if (isInvalidCast)
       modelStates.AddModelError(key, "入力形式の間違った項目があります。");
   }
 }
} 

こんな感じで、DefaultModelBinderを派生させたクラスを作成し、このModelBinderをDefaultBinderにしちゃいます。もう、これだけでいいっす。 なので、Global.asaxのApprication_Startの所に以下のコードを追加。

protected void Application_Start() { RegisterRoutes(RouteTable.Routes); ModelBinders.Binders.DefaultBinder = new ValidateModelBinder(); }

特定のViewModelでしか使わないよ!っていうならViewModelクラスの宣言時に

[ModelBinder(typeof(ValidateModelBinder))] public class モデルクラス {…}

って、書きましょう。

この状態で、もう一度動かしてみます。

modelbind3

今度はちゃんと、ValidationSummary()で表示されるようになりました。 今回のコードは無理矢理エラー項目のキーに"__InvalidOperationException__"と入れて、複数のエラーメッセージが出ないようにしてますが、もちろん項目毎に表示してもいいですよね。

若干気になるのは、なんでInvalidOperationExceptionを発生させるようにしてるのかな~、というところ。なんとなくだけど、InvalidCastExceptionのほうがシックリ来ないですかね~。そういうもんなんですか? ちなみにどこでInvalidOperationExceptionを発生させてるかというと、ASP.NET MVCに含まれるValueProviderResultクラスのConvertSimpleTypeメソッド。この中でTypeDescriptor.GetConverter()で取得したコンバーターのConvertToを呼び出すところらへん。

ココまで書いて思ったんだけど、ASP.NET MVCに関するエントリーだけでも全部こっちに持ってくればいいのかな。今はそれ以外の事を書く事もほとんどないし。そうしちゃおっかな。

ASP.NET MVCのエントリは全部移行しました。手作業で...。

dotnetConf2015 Japan

https://github.com/takepara/MvcVpl ↑こちらにいろいろ置いときました。 参加してくださった方々の温かい対応に感謝感謝です。